金
18
6月
2010
ユリエルとグレン
児童書ってどんな文学賞があるの?と前々から気になっていたので、ここでは文学賞受賞作品を読んでいこうと思います。
ということで「ユリエルとグレン」、今年度の児童文学者協会新人賞受賞作品です。
予備知識なしに図書館で取り寄せてみたところ、表紙を見てびっくり。ハードカバー児童書なのに、なんという萌えイラスト。しかもやけに完成度が高いのでは、と思ったら装画は「黒魔女さんが通る!!」シリーズの藤田香さんでした。この作品は、2008年に講談社児童文学新人賞佳作を受賞した作品。著者石川宏千花さんへの、講談社の期待度が伺えるといえましょう。
さて作品の方は、表紙イメージや副題の「闇に噛まれた兄弟」が示すとおり、ヴァンパイアに襲われた美少年の兄弟の物語です。
兄のグレンと弟のユリエル、それぞれの「血」に秘密があり、謎を解く旅の途中で様々な事件に遭遇、困難に立ち向かいながら成長して行きます。
あまりに美しい兄弟愛にうっとりするお姉さん読者も多そうですが、ローティーンの女の子も惹き付けられそうな要素がいろいろあります。
生きるために兄弟の結びつきが必要、ということがすんなり受入れられる設定だし、吸血鬼や狼男など異生物を扱う聖職者のトリストラムとテレンス、ヴァンパイアハンターを探しているエヴァンジェリンとアンジェラという少女など、主要人物がペアというのも、子どもに受けそうですね。
児童書のヴァンパイアものといえば「ダレンシャン」が人気ですが、こちらは友情と冒険テーマで男の子に支持されているもよう。兄弟、家族、血族、ちょっぴり恋愛風味もある「ユリエルとグレン」は、女の子が好きそう。
1巻は人物造形や表現など若干気になる部分もありましたが、2,3巻と進むにつれぐっと面白くなっていくとか。追って行きたいシリーズです。
(神谷巻尾)
『ユリエルとグレン』
石川宏千花 講談社


