児童書・YA・ライトノベル・ジュニア小説など、子ども〜10代向けの本のレビューをデリバリーします。児童書ブロガー、学校図書館司書、本好きな子ども、子ども本好きな大人などが、おすすめ本を紹介します。
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2/23 『盗まれたおとぎ話』レビューup!
2/15 2月の新刊情報up
2/2 『くちびるに歌を』レビューup!
1/15 電子書籍「ライトノベル化する児童文学」公開しました
1/15 1月の新刊情報up
12/28【特集:2011年のベスト本】YA*cafeでおすすめされていた本-その2
12/26【特集:2011年のベスト本】YA*cafeでおすすめされていた本-その1
12/23『怪物はささやく』レビューup!
12/12【特集:2011年のベスト本】『天遊-蘭学の架け橋となった男-』ほか
12/3 2011年のベスト本、募集!
11/15『初恋素描帖』レビューup!
10/31『舟を編む』レビューup!
10/12『超絶不運少女』レビューup!
9/24『六本木少女地獄』レビューup!
木
23
2月
2012
盗まれたおとぎ話
トムの冒険には、おとぎ話の登場人物が物語の鍵を握る存在として現れ、手助けをしてくれます。りんごを食べて眠ったまま目を覚まさない黒髪のお姫様を守る小人達や「ヘンゼルとグレーテル」から飛び出してきたお菓子の家が物語を彩ります。それらのおとぎ話をもう1度読み直してから、本書を再び手に取れば更にまた楽しめそうです。
物語の挿絵は、イラストレータでもある作者イアン氏が自ら絵筆を執っています。影絵のような不思議な雰囲気の絵が物語にピッタリ合っていて、目を楽しませてくれます。
(ばーまー)
イアン・ベック著/松岡ハリス佑子翻訳(静山社)2012年1月
木
02
2月
2012
くちびるに歌を
恋の話もからみますが、嫌味じゃなく邪魔じゃなく(←私は恋愛小説はまったくと言っていいほど読みません)、とにかく清清しいですね。
また、課題曲の「手紙~拝啓 十五の君へ~」にちなんで十五年後の自分に向けて手紙を書く課題があり、ある少年が書いたその手紙に泣かされました。
いい本読んだな~と思える作品でした。
残りの予算で図書室に入れられたら、生徒達にもぜひPUSHしたいです。
金
06
1月
2012
アンネ・フランクをたずねて
隠れ家生活という辛い毎日を前向きに生きたアンネ・フランクという一人の少女を、ナチスの暗く、残酷な時代背景と共に追っていきます。要所に「アンネの日記」にある言葉を用いつつ、小川さんならではの女性らしい視点でアンネを分析しつつ話は進みます。
取材で訪れたゆかりの人々へのインタビューや、各所へ足を運び、生の空気を感じたからこそ出来る貴重なレポートは大変意義のあるものです。思わず顔を背けたくなるような歴史の惨状にも、決して目を背けずに受け止めるという著者の姿勢がとても印象的に描かれています。そして、読者もそれを史実として受け止め学ぶことによって、たくさんのことを本書は訴えかけてくれると思います。
原本の「アンネの日記」と一緒に読むのがベストなのかもしれませんが、本書単独でも十分楽しめる内容になっています。それは本書が「アンネの日記」のガイド本的役割を果たしているとともに、ナチスやその時代背景に関する優れた資料としての役割も兼ねているからです。わかりやすい言葉で書かれているので、「アンネの日記」の導入本という形で本書を活用するのもいいかもしれません。
(kawaguchi)
水
28
12月
2011
【特集:2011年のベスト本】YA*cafeでおすすめされていた本-その2
引き続き、YA*cafeでみなさんがおすすめしていた本をご紹介します!
ロニー ショッター (著), 中村 悦子 (イラスト), 千葉 茂樹 (翻訳)
あすなろ書房 2004年
夜の闇からあらわれた黒人の一家。偶然目をさましたアマンダは、おとなたちの“秘密”を知ってしまう。いったいその秘密とは…。逃亡奴隷を助けた一家の物語。(「BOOK」データベースより)
ジャック ギャントス (著), 前沢 明枝 (翻訳)
徳間書店 2007年
ジョーイは小学四年生の男の子。いつも考えるより先に行動してしまい、騒ぎをおこしてばかり。悪気はないのに、どうしてもじっとしていることができず、まわりから「問題児」だと思われている。幼いときに別れたきりだったお母さんがもどってきて、新しい生活がはじまったのもつかのま、教室で事故をおこして、クラスの女の子にケガをさせてしまい、しばらくの間、「特別支援センター」にかようことになった。もう、もとの学校にはもどれないかもしれない、と落ちこむジョーイ。ところが、支援センターはジョーイが想像していたようなこわい場所ではなかった。自分に合った治療やカウンセリングを受けたジョーイは、考え方や行動を少しずつ自分でコントロールできるようになり…。個性豊かな少年の内面を、ユーモアあふれる筆致でこまやかにすくいとった、一気に惹きこまれる物語。全米図書賞最終候補作。小学校中・高学年から。(「BOOK」データベースより)
橋本 紡 (著), 山本 ケイジ (イラスト)
電撃文庫 2003年
いきなり入院した。僕にとってはちょっと早い冬休みみたいなもんだ。病院には同い年の里香って子がいた。彼女はわがままだった。まるで王女さまのようだった。でも、そんな里香のわがままは必然だったんだ…。里香は時々、黙り込む。砲台山をじっと見つめていたりする。僕がそばにいても完全無視だ。いつの日か、僕の手は彼女に届くんだろうか?彼女を望む場所につれていってあげられるんだろうか―?第4回電撃ゲーム小説大賞金賞受賞の橋本紡が贈る期待の新シリーズ第一弾(「BOOK」データベースより)
伊藤 計劃 (著)
ハヤカワ文庫 2010年
21世紀後半、「大災禍」と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は大規模な福祉厚生社会を築きあげていた。医療分子の発達で病気がほぼ放逐され、見せかけの優しさや倫理が横溢する“ユートピア”。そんな社会に倦んだ3人の少女は餓死することを選択した―それから13年。死ねなかった少女・霧慧トァンは、世界を襲う大混乱の陰にただひとり死んだはずの少女の影を見る―『虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点。第30回日本SF大賞受賞、「ベストSF2009」第1位、第40回星雲賞日本長編部門受賞作。 (「BOOK」データベースより)
月
26
12月
2011
【特集:2011年のベスト本】YA*cafeでおすすめされていた本-その1
以前参加した、YA作品の読書会「YA*cafe」。今回はおすすめのYA作品を1、2冊を持ち寄って集まるとのことで、行ってきました。新刊既刊、児童書一般書さまざまで、YAの入り口からみなさん面白い読書体験に広がっているんだな、と実感しましたよ!
参加したみなさんのおすすめ作品を、ランダムにご紹介していきます。
エリアセル・カンシーノ=著, 猫野ぺすか=イラスト, 宇野和美=訳 偕成社 2010年
つい、うそばかりついて、学校にも行かない少年ペリーコ、村にただひとりのイギリス人フォスターさん。ふたりの出会いは、ペリーコの世界を大きく変えていく。一九六〇年代スペイン、海辺の村を舞台にえがかれるだれもが共感する、みずみずしい成長の物語。スペイン実力派作家のアランダール賞受賞作。小学校高学年から。(「BOOK」データベースより)
ジャクリーン ケリー (著), 斎藤 倫子 (翻訳) ほるぷ出版 2011年
1899年、新世紀を目前にしたテキサスの田舎町。11歳のキャルパーニアは、変わり者のおじいちゃんの「共同研究者」となり、実験や観察をかさねるうち、しだいに科学のおもしろさにひかれていきますが…。ニューベリー賞オナー作。(「BOOK」データベースより)
北 杜夫 文春文庫(新装板)2009年
一国の国家予算を超える盗みを働き、地球上に足跡の及ばざるところは皆無。明智小五郎やジェームズ・ボンドさえも翻弄する正体不明の大怪盗、ジバコ。彼の超人的かつ「1万ドルを盗むのに10万ドルをかける」少々フシギな活躍を描いた、北杜夫のユーモア小説における代表作(「BOOK」データベースより)
金
23
12月
2011
怪物はささやく
この物語には二人の著者がいます。
2006年に『A Swift Pure Cry』で鮮烈なデビューを果たし、その後児童文学を4作残しながらも早世したシヴォーン・ダウド。彼女の原案をもとに、カーネギー賞受賞作家でもあるパトリック・ネスが彼女からバトンを引き継いで作品化しました。
物語はある夜、13歳の主人公コナーのもとにイチイの木の姿をした怪物が現れるところからはじまります。最初は“いつものおそろしい夢”だと思っていたコナーも、それがどうも今回は違うということに気づきます。怪物は「わたしが三つの物語を語り終えたら、今度はおまえが四つ目の物語をわたしに話すのだ。おまえはかならず話す…そのためにこのわたしを呼んだのだから」と言います。
主人公も読者も、この時点では怪物の言っている意味がよくわかりません。物語を語る?そこに一体どんな意図があるのか?しかし物語が進むにつれて、怪物の存在や語られる物語、“いつものおそろしい夢”の正体がおぼろげながら徐々に見えはじめてきます。
怪物の語る3つの暗示に満ちた物語。それらは現実の世界での出来事にもリンクしていて、コナーはそこに自らの期待・願望をも込めるようになります。しかし突きつけられるのは残酷な現実…。納得のいかないまま、今度は自分が物語を語る番になります。4つ目の物語は必ず真実でないといけません。しかし、この4つ目の物語を語るコナーは悪戦苦闘します。自分では決して受け入れたくない真実、しかしその葛藤を必死に乗り越えようとするコナー。その成長の軌跡が儚くも美しい姿で描かれています。
重病に苦しむ母とアメリカで再婚相手の家族と暮らす父親。そんなコナーの置かれている家庭環境を背景に物語は進みます。学校ではいじめに合い、唯一の理解者であった幼なじみとはすれ違ってしまう…。やり場のない怒りや哀しみ。思春期特有の繊細な心の動きが、複雑に絡み合いながらも一つの真理に向かって突き進むストーリー展開は圧巻です。各所に散りばめられた、暗く、荒々しく、悲壮に満ちたモノトーンのイラストも、この作品の世界観を大いに引き立ててくれています。創作に一年を費やしたというジム・ケイの仕事もこの作品の大きな立役者です。
本の帯にもある『喪失と浄化の物語』という言葉がやはりピッタリの作品だと思います。ラストにある、哀しくも、しかし美しいシーンの秀逸さは、やはり各所に散りばめられた伏線がしっかりとクライマックスで噛み合うことによって成せる業だと思います。そしてそれがまたうまい具合に作品の余韻として、いつまでも心地よく尾を引いてくれる仕掛けにもなっているのではないかと思います。 (kawaguchi)
パトリック ネス著, シヴォーン ダウド原案 池田 真紀子訳
あすなろ書房 2011年11月

